ジーンズとレコードが 贅沢品だったあの頃が僕の原点です
僕がロックに出会った'73年頃は、今では想像もつかないほど情報のない時代でした。海外の音楽とそれを取り巻くものに恋をし、少ない小遣いをやりくりしてレコード盤や本を集め、映画を観に行きました。その中で、妙に惹き付けられる言葉がありました。 “HOBO”……さすらい?それって何?HOBO SONG?聴きたい!知りたい!という気持ちでいっぱいになりました。
当時の映画はアメリカンニューシネマにまだ勢いがある頃で、「スケアクロウ」「真夜中のカウボーイ」などで知ったアメリカの大地、病めるアメリカ、ざらついた感触、ハードボイルド……すべてが鮮烈でした。その中で聴いた音楽、バーボンウイスキー、タバコ、そしてジーンズとすべてを体験したいと熱烈に思った中学時代でした。
特にレコード盤やジーンズは贅沢品だったので、アルバイトの給料やお年玉がはいり懐の温かいときに、音楽好きの友人と一緒にレコード&ジーンズ買い出しツアーを組むのが一大イベントでしたね。 渋谷の百軒店にあった「シカゴ」でジーンズを買い、「ムルギー」でカレーを食べて、「ブラックホーク」でコーヒーを飲みながら音楽を聴くのが最高の贅沢。その想いは、ずっと僕を突き動かし続け、気が付けばロック酒場のオヤジになっていたというワケです。
元々は広告代理店に勤めていた「音楽フェチの広告屋」と呼ばれた程の音楽好きで、いわゆる洋楽と呼ばれる音楽の最初の体験はエルヴィス・プレスリー。その頃('73年)は第一次オイルショックで日本中が大騒ぎした頃で、「トイレットペーパーが無くなる、歓楽街のネオンは消える、何よりも痛かったのはレコード盤の値上げ!」(梅澤さん談)という状態だったとか。ともあれ、エルヴィスを知ることの探求心がアメリカンミュージックの深淵へと梅澤さんを誘っていった。